小説

俺はインディゴ名前はまだない(32)

beans

 

32

 

ドスンと地面に落とされた衝撃を感じたと思うと、久しぶりの光が俺の周りに差し込んできた。

トランクケースが開いたのだ!

 

のぞき込んで来たのは、真っ白な巻き髪がキラリと輝く女だった。

「全部 布ね。これなら分けやすいわ。最近ひどいのよ。食べ物やら何やら一緒に詰め込んだ、ゴミ箱みたいな物を 平気で持ってくる人も居るのよ」

そう誰かに話しながら、よく喋る白い巻き髪はトランクケースを開けたまま離れていった。

 

またしばらくして よく喋る白い巻き髪が戻ってきた。

トランクケースの中の衣類達が1枚ずつ取り出され、3つのカゴに分け入れられてゆく。

俺は白いパンツの女が着ていたデニムパンツや 刺繍がたっぷり施されたブラウスと同じカゴに移された。斜め下に居たレース織物は、別のカゴに投げ入れられた。

 

空っぽになったトランクケースを持ち上げると、カタカタと底から音がする。四角いレザーの切れ端が出てきた。俺に付いていたものだ。501ZXXと書かれている。

「あらー。外れちゃってるのね」

そう言うと俺の上に積まれたデニムパンツを一本手に取り、建物の奥へ消えた。

デデデデデデという音が 奥から聞こえたかと思うと、また白い巻き髪が戻ってきた。

 

俺のレザーの切れ端を縫い付けたデニムパンツを、白い巻き髪は満足そうに広げて「よしっ」と呟き、俺のカゴの中にポイッと入れた。

 

 

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