小説

俺はインディゴ名前はまだない(34)

beans

 

34

 

俺はマイクの倉庫に運ばれた。そこでマモル君によく似た“日本人”と呼ばれる人間にまじまじと見られたのを最後に、また太陽の光が無い 箱の中での時間が始まった。

 

なにやら遠くへ運ばれている感覚はあった。

「こっちのデニムパンツは このまま箱詰めで。これはベールで行くわ」

という声も外から聞こえた。

日本人に選ばれた衣類が何度か分けられ、詰め込み直されているようだ。

 

ガタゴトと運ばれていく長い時間に、初めて味わったのが孤独。

周りに沢山の同じデニムパンツが居るはずなのに、孤独を知ったのがこのときだ。

忘れもしない感覚、「もう一度、着られたい」と強く願う。

そうだ・・・。

俺はインディゴになり、布になり、縫われて「衣類」として生まれたときから、着られることが定めなのだ。

自分が何者なのか知った。

・・・孤独は俺を賢くしてくれたのかもしれない。

 

 

己の存在に覚悟が出来たころ、箱のフタが開いた。

暗闇に光とともに、じんわりと湿った空気が俺の箱に入ってきたかと思うと、次々にデニムパンツが取り出される。

 

いよいよ俺の順番がきたが、また違う箱の中に入れられてしまった。

 

箱に詰め込んだ女の声が聞こえる

「ここ入れたのん、よう解らんヤツやわ。ケンさん戻ったら見てもらおうか」

どうやら俺は“よく解らないヤツ”らしく、一緒に運ばれてきたデニムパンツとは別の箱で過ごすことになった。

 

 

 

ここからまた長く 箱の中で時が経ち、

フタが開けられたのちに店に並べられ、

マモル君の家に行き・・・

 

 

そして今、ユカがハサミを俺に突き刺している

 

 

 

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【お知らせ】

いつも読んでくださりありがとうございます。

次回から最終章が始まります。公開スタートは7月を予定しております。

今しばらくお待ち下さい。

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