小説

俺はインディゴ 名前はまだ無い (2)

beans

(2)

吹き付ける冷たい風を防ごうと、アクリルのマフラーをきつく巻き付ける。軽さと洗濯の手軽さが、マモル君の生活に似合っているマフラーだ。しかし防寒性となると、心持たない素材ではと気になるのだが。

マモル君は黒毛と寒さを楽しむように歩いている。

さっき入った場所は、映画館と呼ばれる場所。もわっとした暖かさの室内は暗く、湿ったベロア調のイスに座り過ごした。

空を覆うぐらい大きな宇宙船が地球を襲う話は、だれの趣味だろうか。絵が動く物語が好きなマモル君と、懐古趣味な黒毛が選んだとは思えない。きっと今の世の中で、話題になっているものを無難に選ぼうと、お互いに気を遣い合った結果だろう。

「意外と面白かったね。ウルウルしたよ。」

黒毛は正直だ。見るまで興味が無かったことを、隠さずに感想を述べた。

「ああ、想像通りのアメリカ映画らしい展開だったけど、手に脂汗が出てきた」

「あぶらって!」と笑い仰け反る黒毛のスカートは短く、中の衣類が丸見えだ。その腰から台形を描くように裾へ広がったミニスカートは、歩いているときにも幾度となくすれ違う。これも知り合いという訳では無さそうだ。

黒毛のような台形型の短いスカートは、いろいろな種類があって見るに飽きない。ビニール素材のスカートや、フロントにボタンが連なったミニスカート。全体が畳んだ縦ヒダで出来ているプリーツミニスカートは、特によく見かける。だいたいプリーツのミニスカートからはたくましい足がのび、包帯ギブスのような白い靴下が大地を這いずっている・・・。あれだけは何度見てもインパクトが強い。

この世の中は、とにかく短い方が良いらしい。そしてそれらのミニスカート達は、茶色く長い髪をしていた。

黒毛がミニスカートに合わせていたのは、長く太い筒をたるませたようなブーツ。包帯ギブス達とは一線を画した着こなしなのつもりだろう。

「私UFOとか、宇宙とかチョー好きなんだよね。」

「え、オタッキーか?」

「やだー。ないない。てかマモルはパセリ君じゃん」

「なにそれ」

「売れ残りってこと。結婚できないおじさんでしょ。」

「るせー」

記憶に残らない内容を、しゃべり続ける2人。マフラーをすり抜ける北風を物ともせず楽しそうだ。

ブーツをゴツゴツと鳴らしながら、日が暮れるまで歩き回った。

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