24 シルバーのパイプ棚に、無造作に畳まれて迎えた朝。 いつもの朝ではあるが、キッチンに立っているのがユカではない。さっきから「うわっ」と太い声と共に、ガタンゴトンと騒がしい。 ユカは目を覚ま […]
小説
俺はインディゴ 名前はまだ無い(23)
23 いつもに増して 赤いチークが丸く浮いた顔。ニット帽と頭の間に挟まった 偽物の髪の毛も、おろし立てで艶々としている。 仕事上がり。 ユカはトイレの鏡の前で 入念に身支度をしている。近所のビルで働くロープ […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(22)
22 本当におぞましい光景だった。 俺と同じようなパンツが、100本近く切り刻まれていた。 ハサミやカッターを使い、おぼつかない手付きの人間達が「きゃー」だの「ムズいー」だの楽しむように、太も […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(21)
21 「休憩室 行かへんの?」 人ひとりがすれ違う為に 身をかがめる、ビルとビルの間の路地。その隙間で上手く立つ自販機の横に、俺は地べたに座っている。ユカはぬかるみを避けて座っているようだが、 […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(20)
20 ここは いつもデニムパンツが山積みされている。 以前、俺のようなデニムパンツばかり集められた場所にいた事もあるので、量の多さで驚きはない。 しかし、ときおり男達が出入りする マモル君と出 […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(19)
19 「朝からカレーかいな」 台所で鍋に向かうユカに、起きたてのメグが声をかける。 「おはよ。カレーって凄いらぁ。朝食べると痩せるらしいじゃん」 話し方がいつもと違う。 「・・・ […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(18)③
18(3) 「失礼します」 ドアを開けると、机とイスのワンセットで並べられた部屋があった。その上は、荷物がごちゃごちゃと積み上げられている。 荷物に埋もれるように、よく見ると人が数人、机に向か […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(18)②
18 (2) メモ書きをした紙広げ、何度も立ち止まる。道路に掲げられた案内標識を見上げながら、家を出てずいぶん自転車を漕いでいる。 雑然とした町並みを抜けると、ギラギラとした看板 […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(18)
18 ユカのものになったのだが、俺は未だ紙袋の中にいる。 隣にも同じような紙袋やビニール袋が、床に放置されているようだ。 あれから 何週間たっただろうか 今度は 段 […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い(17)
17 自転車のハンドルに掛けられた紙袋の中から、黒毛とユカの話しを聞いている。 どうやら俺は マモル君の家には帰れないようだ。 「チョー嬉しいんですけど。でも、入るかなぁ」 「大丈夫よ、マモルのだし、私でも […]