6 音が出ないよう、そっと黒毛はドアを閉めて外へ出た。 なぜか俺は黒毛に着られている。 自転車に乗って人をかき分けるように進み、小汚いビルの前で降りた。狭い階段をゴツゴツと音を立てて上り、懐かしい匂いのする広い場 […]
小説
6 音が出ないよう、そっと黒毛はドアを閉めて外へ出た。 なぜか俺は黒毛に着られている。 自転車に乗って人をかき分けるように進み、小汚いビルの前で降りた。狭い階段をゴツゴツと音を立てて上り、懐かしい匂いのする広い場 […]
(5) 最近俺は クローゼットの中で3つ折りされることが多くなった。 黒毛が床から俺を拾い上げしまい込むのだ。 クローゼットの中は、湿気とベニア板の匂いが立ちこめ良い気分でない。居心地の悪さを感じている […]
(4) 今日はマモル君の家に、知り合いが集まっていた。 目を引くのは花柄の男。全面、壁紙のように花が描かれた柄の服を着ている。俺が生まれて間もない頃こんなシャツやワンピースを見たことがあるが。この男の花柄は […]
(3) 家に居る以外のほとんどは、縦長いロッカーで過ごしている。朝にハンガーに2つ折りで吊されて、暗くなるまでここに居る。 湿気の多いロッカーは、吊されて居る方が俺は快適だ。マモル君はよそ行きの所作で俺を吊すという選択を […]
(2) 吹き付ける冷たい風を防ごうと、アクリルのマフラーをきつく巻き付ける。軽さと洗濯の手軽さが、マモル君の生活に似合っているマフラーだ。しかし防寒性となると、心持たない素材ではと気になるのだが。 マモル君は黒毛と寒さを […]
俺はインディゴ 名前はまだ無い fashion・noww 床で朝を迎える俺は、彼に大切にされているらしい。 マモル君は頭の毛が少なくなってきたことを気にしている三十路。なにを変えるわけでもなく […]