俺はインディゴ 名前はまだ無い(12)

beans

12

 

「夕ご飯は食べていくの?」

膝の白い女が 洗い上がった服達を畳みながら、斜め後ろをチラリと振り返り聞いた。

 

今日のマモル君は魂が半分抜けてしまったのか。見たことの無い表情で過ごしている。

テレビを点けて だらりとソファに転がっているが、どこか居心地悪そうだ。

 

「いらない。そうだ母さん、新しい仕事先の近く旨い店が多いんだ。今度ごちそうするから来てよ。パンナ・コッタが上手いらしいぜ」

 

すると畳み上がった服を抱え、忙しそうに立ち上がりながら

「そんなパンナこんなか、どんなか知らないけど、マァちゃんしっかりしないと。そんなチャラチャラしたものばっかり好きなんだから。母さんはあれ、テラミスが好きだわ。それは無いの?」

と言い放ちつつ、

どこかへ消えた。かと思えば、またどこからか現れ・・今度はダイニングテーブルの下のゴミを這いつくばって拾い始めている。

 

「・・・どうだろうな。帰るわ」

不機嫌そうに立ち上がるマモル君。

 

「もう帰るの。せわしない子だね」

ダイニングテーブルの下から立ち上がるなり、白い膝の女は、俺を見て眉間にシワを寄せた。

「臭そうなジーパン履いて。新しいのを買ったらどうだい。見てコレ、ちょっと前に ジーパン買ったのよ。あ、いやジーンズ?あれよ、女の子のジーンズよ。流行ってるらしいわよ」

そういうと片足を前に出して、俺に向かってポーズした。

 

確かに しなやかなラインのデニムパンツだ。

 

その 膝だけ白く色落ちしたデニムパンツは、マモル君の母親のワークウェアなのだろう。

 

 

 

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