俺はインディゴ 名前はまだ無い(16)

beans

 

16

 

「少し片付けてよ」

パタンとクローゼットを締めならが、黒毛が訴えた。

洗い上がった俺と靴下を クローゼットの中の引き出しに詰めるのは、どうやら黒毛の仕事ではないようだ。

「あぁ、置いといて」

「もう入れといたよ」

苛立った声が聞こえる。

 

「・・これは、このままなの?」

「ああ。それはそのままにしといて」

きっとダブリューさんの事だろう。

マモル君は デニムパンツを脱いだまま、じゃばらの状態で床に置き大切にしたい人だ。

昔、俺にそうだったように。

 

「それ、本当にヒゲ付くの?」

「うーん、どうだろう。良いって聞いたよ」

「前のは股のところから、綺麗な線が出来てたね」

俺のことだ。

「あー、あれは買ったときからあったよ。古着だからね」

「古着って全部そうなの?」

いや、違う。

「そうなんじゃない? 俺のも そのうち出来るし」

いや、難しいぞ。ダブリューさんはゆったりしているじゃないか。

 

「そっかー、楽しみだね」

黒毛の声は、いつのまにか不機嫌が直っているようだ。

気のいい女なのか。いや違う。

 

俺と一緒にしまわれた靴下は、表裏が裏返ったまま畳まれている。きっとマモル君が脱いだときに 裏がえったのだろう。

ここ最近、黒毛は あえて そのまま畳んでいるのだ。

 

 

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