俺はインディゴ 名前はまだ無い(19)

beans

 

19

 

「朝からカレーかいな」

台所で鍋に向かうユカに、起きたてのメグが声をかける。

 

「おはよ。カレーって凄いらぁ。朝食べると痩せるらしいじゃん」

話し方がいつもと違う。

「・・・もしかして、ユカって愛知県のひと?」

「やばっ!最悪!出てた?超テンション下がるんですけどぉ」

「そうなん?嫌なんや。てか、カレーって痩せるん?ちょうだいよ」

メグは何かの液を付けた手で 顔をもみほぐしながら、四角いテーブルのイスに腰掛けた。

「ほんと最悪ぅ。ぜったい人には内緒だよ」

「なんでやねん、ええやん愛知。てか、ご飯あったっけ。昨日の残りあるわ。ユカ、どんぐらい入れる?」

「下がるぅ・・内緒にしてぇ」

「はいはい。ご飯、少しにしとくで。あんた、痩せなあかんのやろ」

少し黄色いご飯を2つの皿に盛ると、台所のシンクにゴツンと乗せた。

 

ユカとメグの朝食は騒がしい。

いつ食べ物を口に入れているのか不思議なほど、喋る声が絶え間ない。

 

「カレーといえば、変な事件がニュースになってたよ」

「見た見た。町内で食べるカレーにヒ素入れたヤツやろ。物騒やね」

「ヒ素って味変わるのかなぁ、ユカ、気がつかないかも」

「ぜんぜん解らんのちゃう。てか、ものすごい頭のおかしい人が、地味にお菓子とかに混ぜてたら、数年後、人口減ったりして・・めちゃキモくない?」

「お菓子ってコンビニで売ってるような? あるわけ無いじゃん」

 

おしゃべりが盛り上がるわりに、さらりとカレーを平らげる。

「ごちそうさまでした~」

ユカがオーバーリアクションで手を合わせた拍子に、カレーの付いたスプーンが俺の上に落ちてきた。「あぁー」と呟やきスプーンを拾うと、食器だけ洗って出かけた。

 

俺の歴史にカレーの印が付いた。

 

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